PINKFOX 強制収容7

昼食後も更に肉体労働は続く。
いや、囚人だから当たり前だが・・・
美智子たち囚人は足にこそされないが外出時は必ず両腕に鎖をされ、自由の制限の中動いていた。
腫れたお尻を気にしつつも次から失敗は出来ない・・・
美智子は奮起していた。
が、今度の作業は小麦粉運び、いやそれ以上に肉体労働者泣かせの石材運び及び石材堀りであった。
いわゆるまんまドカチンで、あの一週間も継続してやればすぐにマッチョボディ・・・のアレである。
クワ、スコップ、そして安全ヘルメットなどがダンボールに詰まれ、いわゆる゛好きなものを持っていけ゛状態。
囚人たちと一緒にかがんで箱を興味深そうにのぞく美智子。
その中に彼女はあ!・・・と目を止める。
軍手やタオルもあるが男もののワイシャツや白いブリーフ、トランクスなんかがあるではないか。
(・・・・・・・・・・・・・・・・えい!)
恥ずかしかったがパンツ1枚しかない彼女にとって絶対ゲットしたい一品。
もぎとったのはランニグシャツと真っ白な男物のブリーフ、グ○ゼ製。
「・・・・ピンクちゃん・・・・・・」
「・・・えへへ・・・」
「イメージ的にキツいっスよ(大汗)」
「でも隠せるんじゃろ。レディーのたしなみじゃ!ヒェッヒェッヒェッ・・・」
皆にひやかされながらも美智子はトイレに駆け足でなだれ込み、早速着替えて出てくると白いシャツとブリーフの
美智子が笑顔で登場すると男たちのオー・・・という低い歓声(笑)。

わずか1日だが優しい性格と一生懸命なひたむきさですでに囚人たちのアイドルになってしまった美智子。
(・・・・ふん・・・・ますます気に喰わんなあのガキ)
護衛たちは彼女、馬渕美智子を1人の普通の女性としては見ていなかった。
彼らが特攻警察や極秘情報から得たデータによれば彼女、ピンクフォックスはその美貌と色香で数知れなき大物
政治家を虜にし、極秘機密を横流ししていた超一流の女産業スパイ。
第二次世界大戦で活躍したオランダの有名な女スパイ、マタ・ハリに非常に酷似している点だ。
マタ・ハリも裸に近い衣装を着込んで大物軍事家から機密を聞きだし、国の勝敗を左右する情報を得、他国に流し
やがては捕まって銃殺刑にされ、散ったたぐいまれな美貌の女性。
大人しくはしているが本性は・・・という考えもあり護衛は彼女に厳しいのである。
しかもその兆候としてもう沢山の男たちの取り巻きが出来ているではないか!
優しくはしゃぐ美智子たちを見、護衛はキャップを深くかぶり低くつぶやいた。
「本当のお楽しみはこれからだよ、ピンクフオックスさま・・・・」

ピィーーーーーーッ!!!
「よーしっ!!はじめぇぃぃーっ!!」
ついに牛後の部のはじまりだ。
美智子は穴掘り係。
クワを持ち振りかぶり、
「えいっ!!」
と元気よく硬い石壁に当てていく。
疲れてはいた。
未だお尻の痛みさえとれない小柄な体の全身バネを使い、振りかぶり続ける南国のヴィーナスは直射日光を浴び
美しいシルエットをかもしだしていた。
美智子たちが砕いた石を運び10トントラックにまで運ぶ囚人たち。
山盛りにたまったら運搬船へ降ろし、その運搬船は本土へ運び現金になって戻ってくる。
汗を流し右手でこすると頬にヨゴレがついたりしても彼女はがむしゃらにクワを持ち叩き、石を砕き息をついて空を
見上げては左手で額の汗をぬぐう。
水平線を見つめると小さく貨物船が右方向へゆっくり走っていく。
遠目で見ながら腰をおり、また作業を繰り返すが結構な重労働だ。
だが美智子は体を動かすのも好きだったから苦ではなかったが小麦粉運びの時よりも全体的に護衛の数が多くて
とてもやりにくい。
特に彼女は3人ぐらいが常に監視しており、少しでも隙をつくれば何をされるか・・・
私語の一切ない炎天下の下、黙々と単純労働を繰り返していたがやはり彼女の足がフラつく。
めまいがし、倒れそうになるのをクワを打ちつけ両手でクワに体ごともたれて倒れるのを防ぐ美智子。
「・・・おい・・大丈夫かい・・」
中年の囚人が思わず声をかけた瞬間、護衛のムチが囚人の背中を捕らえる。

ピシャーン!!

「ヒッ、ヒイィッ!!」
「私語はつつしめ!!」
(・・・・・・・ひ、ひどい・・・・なんて人たちなの・・・・く・・)
フラつきながらも怒りを覚えた美智子は護衛たちをキッ、と睨み返し、
思わず足を止め、打たれた囚人によりかかる美智子。
(!?・・・・バッ、バカッ、!!離れろピンク・・・あ)
リョウタが目をやった瞬間、待ってましたとばかりに護衛たちは彼女を取り囲み、あろう事か3、4人で一斉に袋叩きに
しはじめたではないか!!

バキッ!!
ドカッ!!
ピシャッ!!
無抵抗にリンチを受け続ける美智子。

ひでえ・・・

「こらっ!!お前らよそ見するなっ!!!」
ハッとワレにかえり、作業を再開する囚人たち。
2、3分のリンチの後、そこには散弾銃で仕留められたイノシシのように美智子が寝っころがっていた。
足とケツをピクピクさせ、意識はあるが痛々しすぎる光景である。
囚人がこういう目には確かにあうが・・・
半ば半失神状態の美智子の髪の毛を掴み、バシャッ!!と水をかけて無理やりおこすと直立で立たせ、謝罪させる。
「・・・・・すみませんでした・・」
「声が小さいっ!!!」
「・・す・・すみませんでした(泣)!!」
大声で泣き声で叫んだかと思うと彼女は深々とおじぎした。
悔しい。
悔しいがどうしようもならない。
彼女は今出来る精一杯の抵抗をしたが子供のケンカのように上から押さえつけられ丸められてしまうだけ。
両手につながれた銀の鎖。
全ては護衛たちの手の平で踊らされてるだけなのだ。
右手で痛めた左手の二の腕を押さえ、少しフラフラと内股になりながらも彼女はまたクワを持ち、構え、振り下ろす。

バカだよアイツ・・・

誰もが思った。
無駄な抵抗をしても体力を浪費し護衛たちの反感を買うだけなのに、と。
現実的にボディダメージを受けた彼女は疲弊し飲み水もなく、作業開始から約2時間後ついに倒れる。
その美智子をニヤリとし、護衛の1人がまるで米俵を抱えるようにして拷問小屋へ連れて行く。
丁度ケツが護衛の横にあり、女性としてはもっとも恥ずかしく格好悪い姿ではないだろうか。
「・・・フン、いやらしいケツしやがって!!ピンクちゃんよぉ、ア○ルプレイは楽しいかーい(笑)!?」
パチン、パチンとケツを軽く叩きながら歩く護衛。
「・・・お・・・・お水・・・・」
「あー・・・もうちょい待てよこのっ!!」

パチィーンッ!!!

「あひぃぃっ(泣)!!」
「いやしい女!!がはははっ(笑)!!」
3、4人もの護衛たちは笑いながら拷問小屋へむかう。
その分囚人管理が手薄になるのだが彼らからすればこの生意気な女をオモチャにし遊んだ方が楽しいのだろう。
まさに生き地獄。
クワを持ち、石をたがやす囚人たちはこの美少女の安否をただ心から祈るだけしかなかったのだ。
連れてこられた小屋で彼女は粗末な縄で吊るされ、護衛たちに徹底教育されていく。
よく見ると責任者の藤堂も奥に座っていて皮肉めいた笑顔を見せていた。
「私は、ダメ人間です・・・・男漁りの得意なへ、変態・・・・・」
「声が小さいんだよっ!!わざとらしい演技するな!!!」
ピシャッ!!
「あうっ!す・・すみませんでしたっ!!私はへ、変態でズ、ズル賢いメスブタです(泣)!!!」
「ぎゃはははーーーっコイツ自分から言ってやがる(笑)!!」
半泣きで大声を出し、言葉を繰り返す美智子。
「すみませんでしたっ!!!心入れ替えます!!!」
「すみませんでしたっ!!!心入れ替えます!!!」
「すみませんでしたっ!!!心入れ替えます!!!」
30分程発声しヘトヘトになった彼女はナントまた元の場所に戻されて作業を続ける事になったが3時間近く一滴の水
も飲んでいない美智子にもはや力などなく、すぐ倒れてしまう。
(・・・・・ようやく限界に達したか・・・・)
作業終了後、護衛たちが囚人たちを集めて簡単な反省会をやるがヤリ玉は勿論初日の強制労働を体感した美智子。
その美智子は疲労とノト゛の乾きと日射病などで失神状態。
その美智子をクレーンで吊るし、裸にして罵倒する護衛。
そして説明するのは責任者のあの藤堂だ。
「皆さんごくろうさまです。しかし残念ながら」
吊るされている美智子のア○コを棒でつつき、
「この新しく入った色白のお嬢様はさぼってばかりで困った者です(笑)。
皆の頑張りを見習いなさいっ!!!」

バチィィィーーーーンッ!!!

「・・・・・・す・・・・すみ・・・・・・」
背中を強くぶたれてももはや声さえ出せぬ程に彼女は弱り、水を欲していた。
クレーンから下ろされ、ドサッと地面に落ちる美智子を見届けると藤堂が乾いた大地にむかって大声を出す。
「君たちよく見とけっ!!これが現実だっ!!!私たちの命令にそむく者、反発する者はこうなるんだっ!!!!」
囚人たちは声も出ない。
更に根っころがる美智子の頬をブーツで踏みつけると護衛たちはとんでもない要求を美智子につきつける。
「・・・・おい・・・わざとらしく寝るなよ産業スパイ!!水が欲しけりゃ・・・ほら、犬っころのように四つんばいになって
三べんまわってチンチンしろよ!!ああ(笑)!?」
(コイツら・・・どこまで腐ってるんだよ!ピンクが可愛そうだ・・・・くそぅ・・・)
リョウタたち一部の人間たちは歯ぎしりし悔しさをこらえていたが昔からいる囚人たちはあまり驚いていない。
なぜならこれくらいの罰や拷問はこの囚人島では結構あるのだから。
ただ女性で・・・というと彼女がそう、はじめてなのかも知れないが。
その瞬間、絶対ありえない現実が囚人たちの脳裏を襲った。

うそだろ・・・
マジかよ・・・ちょっとショックだぜ・・・
くっくっく、みっともねー(苦笑)

そう。
彼女はふるえながら最後の力を振り絞り、右肘を地面につけ、頭を重そうに下にむけながらもなんとか四つんばいに
なり、少しじー・・・としていたがやがてその格好で歩き出し、ナントその範囲をクルクルと3べんまわって護衛たちの
注目する中、チンチンし、しかもあろう事か舌をハッ、ハッ、と出して瞳に涙いっぱいににじませ、媚を売る物欲しそうな
目つきで見つめたかと思うと一言叫ぶ。
「ワ・・ワンッ(恥)!!!」
ヨダレを垂らし・・・多量の汗つぶを垂らしまくり・・・ア○コやケツからも汗がピトピトとしたたり落ち、髪の毛も濡れて
なんともセクシーだったがその姿勢はあまりにコケティッシュすぎマニアックすぎた。
とにかく衝撃的であった。
わずか1日とはいえ、彼女と接していた囚人たちは大人しいあの子がまさか・・・というショックを隠せない。
憧れの子のいけない部分を見て百年の恋も冷めてしまう・・・彼女に好意を抱きはじめていた男たちからすれば当然
といえば当然なのだが。
その周りのザワつきと美智子のアホ面の正面に立つ護衛たちは非常に喜びはしゃぎ、約束どおりに彼女に水をやる。
「そらっ!犬っころ取れ(笑)!!!」
なんとミネラルウォーターを10m先に投げる護衛。
だが彼女は四つんばいでそれを追いかけ地面に落ちてポンッ!とバウンドしたPETボトルをまるでラグビーボールを
タックルでもぎ取るように滑り込んでキャッチする。

・・・・・・・・・・・・・・

さすがに声が出ない囚人たち。
いたたまれなくて目を伏せる奴までいる。
それほど現実的に痛すぎる光景なのだった。
あせり、震える手でボトルのフタを取った彼女は周りの目ももはや眼中になく、一気にラッパ飲みして乾いたノドを
思いきり潤す。
「さっ、最高だぜこの女スパイッ!!!ギャハハハハーーーーーッ(大笑)!!!!」
・・・・だが虎の子の水を飲み干す彼女の顔はとても美味しそうで唇から水がしたたり落ち、地面にこぼれていたが
なんともはや・・・ホッとする光景でもある。
(お・・・おいしい・・・・・・・)
「見ろっ、これが現実なんだっ!!どんなに美しくてもどんな強い奴でも飢えには勝てないんだっ!!!
分かったかお前らっ!!!!」
「はっ、はいっ!!!」
結局美智子はこの後約3本のPETボトルをもらいこの日の大変な作業は幕を閉じる。
終了後、意気揚々と引き返す責任者、藤堂はチラッと彼女の方を見、歩き、護衛とともに施設に戻った。
初日は完璧に・・・完膚なきまでに藤堂に負け、ぶざまに醜態を晒した彼女。
美智子はもらったシャツを休憩時間に近くで湧き出る川で洗い、周りに人がいる時はニコニコしていたがやがていなく
なるとその場で洗う手を休めず泣いた。
そうだ・・・
一番辛いのは周りでも護衛たちでもなく当の美智子本人なのだ。
自分の情けない醜態を沢山の男性の前で晒しプライドを捨て物をもらう最低の女・・・
自分たちをイジめる護衛の、それも一番シッポを振ってはいけない責任者藤堂のほどこしを受けて喜ぶ人間失格女・・・

みっともない・・・

恥ずかしかった。
舌を噛んで死にたいぐらいに。
だが・・・だがそれを思いとどまらせたものがあったから・・・あったから彼女は全て捨て生きようと思ったのだろう。
少し薄暗くなり夕食の時間だが、彼女は食べずに過ごそうと思っていた。
当然だ。
いける訳ない。
どんな顔をしていけばいいのか・・・この判断が彼女の精一杯だし、河の水をたらふく飲めば空腹を埋める事も出来る。

皆が寝静まった頃にひっそり戻ろう・・・

そう思い顔を上げると周りにはリョウタたち数人の囚人たちが・・・
ハッ、ととまどい、思わず下をむく美智子。
どうしていいのか分からなかった。
が、リョウタは飄々と言う。
「・・・・飯食おうゼ。みんな・・・さ、お前が来るまで飯食わずに待っているってさ。かく言う俺らも・・たはは(苦笑)」

グウー・・・

「はっ、腹減ってもたねえ!か、かっちょわりーの(恥)!!」
ニコニコし、美智子を見つめるリヨウタたち。
その瞳はとても優しく、彼女をいとおしむかのような暖かみがあった。
一瞬リョウタを直視し、ハッ、とまた下をむいてしまう美智子。
そんな彼女を見、リョウタや純一たちは顔を見合わせ、美智子の手を取り、歩く。
その両手をしっかりわしずかみし我慢していたがこらえきれずに美智子はポロポロと大粒の涙をこぼす。
「う・・・うぇ・・うっうっ」
彼女はリョウタに顔をおもいきりつけて泣きだした。
さすがに照れて美智子を抱きしめ返すリョウタ。
「ど、どうしたんだよ」
「だ、だってわだじ・・・こ、こん・・な女・・・・ば・・ばか・・な子じゅ・・うっ、」
「ん?じゃ、飯いらないか?はは」
首をプルプルふる美智子。
「よしよし・・・悔しかったんだな、うんうん・・・・」
頭をなでるリョウタ。
結局皆に連れられて美智子は食堂へいき、夕食を食べた。
そして本当に彼女が来るまでの間、誰1人として飯を口に入れる者はいなかった。
リョウタもそうだが年配の囚人たちやリーダー格の人間たちが心配して取り計らってくれたのだ。
護衛たちはおもしろくない以前に驚きしかなかった。
超一流のワル・・・何人も人を殺してきた奴だっているし、皆自分勝手でまとまりがないはずなのに・・・
それが・・・それがたった一人の何ももたない女の為にここまで必死になるのはいったい・・・
「そりゃ大物政治家を手玉にとってきたピンクフォックスだからな。演技だろ」
そういう声もある・・・がただ1つ言えるのは彼女が好む好まずに関わらずこの囚人島全体がこの子の話題でもちきり
だという事実であった。
下を向き、ポソポソと食べる美智子のオカズがどんどん増える。
皆、こぞって彼女のお皿に盛ってくれるのだ。
「・・・・・・あ・・・・あり・・がと、とうございま、ます」
一日のショックと緊張でどもった声でお礼を言い赤くなる彼女の周りには沢山の彼らの笑顔があった。
「・・・・ピンクちゃん。ワシを助けてくれて・・・ありがとうよ・・フェッ、フェ」
美智子かかばった古老の囚人もいる。
「・・・皆、お前さんが何も持っていない事は知っているから・・・気にせんでええよ。ただ・・ただ・・・」
古老の囚人は下を向き、言う。
「何があってもなぁ・・・・死んじゃいけんよ・・・・約束じゃよ・・・」
「・・・・はい・・・」
ご飯を口にほおばりながら彼女は感動し、泣いた。
彼らにとってこの子が産業スパイだとか男垂らしなんてどうでもよく、犬チンチンはショックだがやらざるおえない意味も
分かった為、逆に

守ってあげなければいけない子

という妙な団結心が生まれたのだ。
根が素直というのは馬鹿正直で騙されやすい性格なのかも知れないが、男から見て彼女には悪いが、馬鹿な女性程
可愛いものはないのである。
絶望の淵の大家族の中にやってきたたった一人の女の子は沢山の父や叔父、あるいは兄貴たちに逆に生きる希望を
与えにきた天使なのかも知れない。



                                                                  8につづく





















































                                                                8につづく